安全な労働と所得保障を求める女性介護労働者の会

安全な労働と所得保障を求める女性介護労働者の会では、主として「女性」の介護労働者が業務上の労災に遭うことのないように安全に働くことや、構造的な低賃金を改善することを求めています。




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病院付添いと家政婦制度のあゆみ :: 2012/01/30(Mon)
第一節【戦前(第二次世界大戦)における介護労働の概況】

家族介護から社会的介護への100年余りに渡る道のりにおいて、戦前の早い時期から家族介護を側面から社会的労働として支えたのが家政婦あるいは派出婦、家事使用人などと呼ばれた人々であった。
女性の就労機会が極めて限られていた戦前において、女性が特に資格や技能などがなくてもいつでも働くことが出来る仕事だった。
これらの人々は通いだけではなく、住み込みが多かったのも特徴の一つである。
仕事は高齢者の介護の手助けだけに限らず、家事や子守など家庭内の仕事全般にわたった。
もっとも'介護'という言葉は戦後の老人福祉法(1963)以降のものであり、明治時代には使われてはおらず、高齢者のお世話といった家事の一部として認識されていたもののようである。
収入については、住み込みでは雇主から寝食は提供されていたものの、現金としては盆暮れの小遣い程度のこともあり、概して低額であった。
通いでも長時間労働にして低賃金であった。(…)

第二節【家政婦制度のあゆみ】
戦後の家政婦制度は戦前の状況を引き継ぐことになるが、新しい法制度の下で再発足する。昭和22(1947)年制定の「職業安定法」及び同年制定の「労働基準法」である。「職業安定法」では職業紹介業務は無料としながら、有料職業紹介事業を一部認め、その一つとして看護婦・家政婦紹介所が認められた。紹介所は宿泊施設などを認可要件とされ、料金は紹介手数料を家政婦と使用者の双方から徴収するほか、使用者から家政婦に支払う賃金の10.5%を手数料として受け取るというものである(職業安定法第32条)。

「労働基準法」は原則としてすべての労働者に適用されるが、例外として「家事使用人」(個人の家庭においてその家族の指揮命令の元で家事全般に従事している者)は労働基準法適用除外とされた。

戦後直後の当時、女性の就労口が限られていた上、膨大な失業者のため女性の就労はきわめて困難な社会状況にあった他方で、戦争未亡人や戦争被害者をはじめ働かなければならない女性も少なくなかった。こうした女性にとって特に技能がなくても身近に働いて収入が得られるのが家政婦であった。家政婦は戦前と同様に家庭の家事手伝いや病院の入院患者の付き添いのほか、社会福祉施設の職員(寮母)にも就労した。

家政婦の就労先について転機をもたらしたのが昭和25(1950)年の医療保険いわゆる'完全看護制度'(付添看護療養費制度~1958年に'基準看護'と名称変更)と昭和33(1958)年の「国民皆保険」体制である。完全看護制度では、それまで'小さな引越し'と言われたほど患者の負担が大きかった入院生活の解消を目的に患者:看護婦の数的比率を4:1と規定したものである。その内容は'完全給食'と'完全寝食'を含む入院患者の療養生活の世話を医療保険の給付として看護婦が'完全'に提供するというものである。これにより完全看護病院では付添は認められなくなり、付添いは完全看護外病院(総数の半数弱程度)のみとなった。ところが昭和33(1958)年の「国民皆保険」による医療需要の拡大、医療技術の高度化、人口の高齢化という時代変化をたどる過程で、看護婦不足が深刻化し、その穴埋めを家政婦の付添いに頼る事態が恒常化していくこととなった。家政婦の付添いは、患者との個人契約として上記の労働基準法適用外とされ、休憩休日なしの24時間就労と長時間の割には低賃金というものであった。こうして'完全看護(1958年から基準看護)'を舞台裏から支えてきた家政婦による戦後の付添い看護は、介護保険が現実化してきた平成6(1994)年に廃止され、その歴史を閉じることになった。このため失職することとなった家政婦の一部は病院の看護補助員として雇用されたが少数であった。労働省はこの時点で家政婦を含む家政婦紹介所の救済策として、補助制度を用意し、家政婦紹介所の介護保険対応事業所への転換と家政婦のホームヘルパー(訪問介護員)への転換をすすめた。歴史のうねりの中で家政婦と家政婦紹介所の多くは、介護保険の担い手として組み込まれることとなった。

出典:『介護労働者の業務内容と心身の負担感に関する研究』平成16年報告書(雇用開発センター 平成17年)

(takako yoshioka)
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『大阪の貧困2~格闘する現場からの報告』 :: 2012/01/20(Fri)
大阪の貧困2

『大阪の貧困2~格闘する現場からの報告』(反貧困ネットワーク大阪実行委員会編/耕文社)
ISBN978-4-86377-022-5 C0036(762円+税)

【もくじ】

借金と貧困のスパイラル:前田勝範(大阪いちょうの会)、川内泰雄(大阪いちょうの会)

「貧困ビジネス」って、なに?:普門大輔(関西囲い屋対策会議)、堀泰夫(全国追い出し屋対策会議)、生田武志(野宿者ネットワーク)

障害者・家族の「貧困」とは?:井上泰史(大阪障害者センター)

少子高齢と移民の日本社会:金光敏(コリアNGOセンター)

高齢者の貧困:大口耕吉郎(全大阪生活と健康を守る会連合会)

ケアワーカー(介護労働者)と貧困:吉岡多佳子(安全な労働と所得保障を求める女性介護労働者の会)

派遣労働者は今、現場からの報告:平佳子(地域労組おおさか)

保育の市場化を狙う「子ども・子育て新システム」:前田美子(大阪保育研究所)
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